目のご不自由なかたへの点字資材

日本頭痛協会では、目のご不自由な方のために点字資材が完成しました。

入手ご希望の方は、全国慢性頭痛友の会

(℡/Fax047-492-7344

        (http://www.headache.jp/

e-mail:dorajcho@sea.plala.or.jp

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朗読用文書

■■頭痛って病気ですか?■■
■1. 頭痛っていったい何だろう?おなかが痛い、それは胃、腸や内臓に何らかの異変を示すシグナルです。では、頭痛は何を知らせるシグナルなのでしょうか? 時々現れる激しい頭痛、でも病院での検査で異常が見つからない…そんな経験はありませんか? 頭痛には頭の疾患を知らせる「危険な頭痛」もありますが、頭痛そのものが病気である「慢性頭痛」というものもあるのです。
■2. 危険な頭痛ってどんなものがあるでしょうか?危険な頭痛は「二次性頭痛」とも呼ばれています。生命をおびやかす病気で、頭痛を起こすものの代表格といえば「くも膜下出血」があります。また「脳腫瘍」や「髄膜炎」なども頭痛を伴います。それぞれ特徴的な症状がありますので、もし次のような症状に気付いたら、迷わず病院、科でいえば、脳神経外科・神経内科へ行きましょう。
■3. 主な二次性頭痛の説明をします。くも膜下出血は、脳の動脈りゅうが破れ、脳の表面のくも膜の下に出血を起こす病気です。突然、バットで殴られたような、激しい頭痛に襲われます。脳腫瘍は、頭の中にできものが出来る病気です。頭痛は吐き気や嘔吐を伴って、だんだんひどくなってゆきます。髄膜炎は、病原体が頭の髄膜というところに入り込み、炎症を起こす病気です。発熱を伴って、「こんなにひどいかぜの頭痛は初めて!」と、感じる頭痛が起こります。
■4. 「慢性頭痛」とはどんな頭痛でしょうか慢性頭痛は、一次性頭痛とも呼ばれています。頭の中に特別な異常がないのに、繰り返し起こる頭痛、いわゆる「頭痛持ちの頭痛」を慢性頭痛と呼んでいます。この慢性頭痛は、実に日本人成人の3~4人に1人の割合で悩んでいる人がいます。まさに国民病ともいえる病気なのです。慢性頭痛の代表格は「片頭痛」、「緊張型頭痛」、「群発頭痛」です。
■5. 片頭痛ってどんな頭痛でしょうか月に数回、発作的に、ズキンズキンと脈を打つように、頭が痛くなる頭痛が片頭痛です。片頭痛といっても、片側だけが痛むのではなく、両側のこともありますし、ズキズキしないこともあります。女性に多く、生理の前などに起こる事も多いことからも分かるように、ホルモンが関係する頭痛です。片頭痛は、体を動かすとひどくなる激しい痛みに加えて、光や音に敏感になったり、ムカムカとした吐き気や、実際に吐いてしまう不快な症状を伴います。そのために日常生活や仕事に支障を来します。片頭痛持ちのかたの20%程度には、頭痛が起こる前に「前触れ、あるいは前兆」が起こることがあります。
■6. 片頭痛は起こる前にわかるものでしょうか?前兆の典型的なタイプは、光る歯車のようなものが、目の前に現れて徐々に拡大する「閃輝暗点」です。またそのような前兆が無い場合でも、何となく気分がすぐれない、イライラする、やたらにお腹がすいたり、甘いものが食べたくなるなどの「前駆症状、あるいは予兆」によって、「片頭痛が起こりそうだ」とわかることがあります。
■7. 片頭痛はなぜ起こるのでしょうか?片頭痛の起るメカニズムは、脳からの頭痛信号により、頭の血管を取り巻く、三叉神経から、痛み物質が血管に降り注ぎ、血管が拡張して炎症を起こすためです。これを「三叉神経血管説」といいます。片頭痛の誘因は、人によって様々ですが、ストレスやホルモンの変化、一部の食べ物・飲み物が考えられています。赤ワインやチーズ、チョコレートなどがよくあげられます。しかし、明らかに関係ある場合には避けるべきでしょうが、あまり神経質になり過ぎてもよくありません。またストレスから解放された時にも頭痛になりますし、寝過ぎも、寝不足もよくありません。休日にいつまでも寝ていると、片頭痛に襲われますので、いつもの時間に起きるようにします。生活のリズムを整えて、ストレスを貯め過ぎないようにすることも、片頭痛を避ける工夫のひとつです。
■8. 片頭痛の治療法について片頭痛で頭が痛くなってしまったら、どうしたらよいのでしょうか?多くの方々は市販の鎮痛薬をのんで対処しているかもしれません。それでも片頭痛がよくならない場合は、トリプタンという、片頭痛の特効薬を服用してください。トリプタンは処方箋が必要なお薬です。また、鎮痛薬は飲みすぎると、頭痛がかえってひどくなります。具体的には月に10日~15日以上の服薬です。そのような頭痛を「薬物乱用頭痛」といいます。 薬ののみすぎによる頭痛を避けるためにも、頭痛に悩まされている方は、正しい診断を受け、効果的に治療するために、一度受診して、医師の指導をうけるとよいでしょう。
■9. 病院でもらえる片頭痛のおくすり片頭痛のお薬には、「予防薬」と「頓挫薬」の2種類があります。
月に何回も、ひどい片頭痛の発作が起きてしまう場合、「予防薬」を連日服用することで、片頭痛発作を起こりにくくすることができます。しかし予防薬をのんでも完全に頭痛が無くなるわけではありませんし、一旦痛くなってしまったら予防薬では痛みを抑える効果はありません。代表的な予防薬としては、塩酸ロメリジン、バルプロ酸、プロプラノロールなどがあります。
「頓挫薬」は、頭痛発作が起こった時に、頭痛を楽にするおくすりです。片頭痛の特効薬といわれるトリプタンは、片頭痛の痛みの原因となる「頭の血管の拡張と炎症」を鎮め、痛みをとります。トリプタンは2012年現在、5つのブランド、10種類の製剤があります。片頭痛の初期に服用するとあざやかに片頭痛が取れます。錠剤や、口の中で溶ける製剤、鼻から噴霧するてんび薬、効き目の早い注射薬などの製剤があります。トリプタンの他にエルゴタミン製剤がありますが、最近はあまり使われなくなりました。鎮痛薬は、片頭痛が軽い場合には効きますが、ひどい片頭痛には無力です。吐き気どめは、片頭痛のつらい吐き気をおさめ、薬の効果を引き出す働きがありますので、積極的に活用します。
■10. 緊張型頭痛とは、ストレスや緊張から起こる頭痛です緊張型頭痛は、その名のとおり、心や、体の、緊張からおこる頭痛です。例えば長時間のデスクワークによる、頭のまわりの筋肉と頸の筋肉のコリや、精神的なストレスなど、心の緊張が引き金になって起こります。頭全体がギューッと締付けられるように痛み、毎日のようにだらだらと続くのが特徴です。連日頭痛が続くと、ついつい毎日鎮痛薬を飲んでしまいがちですが、これも頭痛をこじらせる原因となります。毎日のように頭痛に悩む場合は、受診をお勧めいたします。
■11. 群発頭痛って、初めて聞く頭痛ですが…群発頭痛は、非常に激しい痛みを伴う頭痛ですが、稀な頭痛のために、あまりなじみがないかもしれません。男性に多く、年に1~2回、1~2か月間、20分~3時間の頭痛が、毎日のように、真夜中や昼間に起こり、毎年同じ頃に繰り返します。ちょうど群発地震のように起こるので、群発頭痛というのです。片側の目の奥がえぐられるように痛み、痛む側の目が充血したり、涙が出たり、鼻がつまったりします。とてもじっとしていられないという患者さんが多く、痛くて「のた打ち回る」ほどです。群発期にアルコールを飲むと、てき面に頭痛が起こりますのでこの期間は禁酒します。
■12. 慢性頭痛に対処するにはどうしたらよいでしょうか。これまで説明した三つの慢性頭痛は、それぞれ違う病気であり、対処法、治療法も異なります。一番大切なのは、自分の頭痛がなんであるかを知ることです。そのために一人で悩まず、医療機関で正確に診断してもらうことです。頭痛診療のエキスパートは神経内科医、脳神経外科医などですが、かかりつけの医師でも相談にのってくれます。最近は頭痛専門医も認定され各地で活躍しております。その名簿は日本頭痛学会のホームページ(http://www.jhsnet.org/)から、入手できます。慢性頭痛は、あなたと医師のコミュニケーションのもとに、診断と治療をすすめていく病気です。ですから、自分の頭痛を詳しく観察し、医師に伝えられるようにしておくことが、治療を成功させるコツです。受診の際には「いつから、どこが、どのように痛み、頭痛以外のどんな症状を伴っているか」を、予めまとめておくとよいでしょう。
この頭痛のお話しは、一般社団法人日本頭痛協会が、全国慢性頭痛友の会と協力して作成しました。ご清聴を感謝いたします。(2013年2月2日作成)

頭痛の解説
目のご不自由な方のための頭痛解説を朗読した音声ファイルです。
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点字頭痛チャイム付.mp3
MP3 オーディオファイル 4.8 MB